さきごろ来日した俳優ブラッド・ピットはアメリカ国内でも人気が高い。研究室のチーフをしている仕事人間のサラでさえ、「アメリカの女性はみんな彼のファンよ」と言うほどだ。
ただし、彼の人気の背景は日本のそれとはちょっと違う。いわゆるハンサムな男性の人気というより、むしろ彼の行動によるところが大きい。ブラツド・
ピッドは自分の子供と一緒に、アフリカなどの恵まれない子供を養子にして育てている。
加えて、ハリケーンで壊滅的な被害を受けたニューオーリンズの復興に努力している。住宅を建て、しかもアレルギーをなくすエコ製品を使い、ペンキなどの化学物質を使わないクリーンな環境をつくろうとしているという。
お金を出すだけの寄付ではなく、実際に自分がニューオーリンズに行って協力している様子が報道されている。
「お金があるからできるんでしょ」だとか「売名行為だろう」と、皮肉を言う人はまずいない。たとえそうだとしても、その社会奉仕に対する共感の方が強いためだろう。
アメリカでは病気の予防キャンペーンや、エイズのカミングアウトにスポーツ選手や俳優が協力を惜しまない。有名人が協力することでマスコミがとり上げ、予防医学に効果をあげる。社会奉仕も同様である。ブラッド・ピットがそんなにボランティアをしているのなら自分もちょっとまねしてみようかな、と思う人も増えるだろう。
俳優や政治家など、ひんぱんにマスコミにとりあげられる人たちの行動は影響力をもっている。恋愛や不祥事ばかりで世間を騒がせるのではなく、まわりを気分よくさせる行動で注目を集めてほしい。お金を派手に自分のためだけに使うような報道ぱかりを目にするとさみしい気持ちになる。そんな中で、お金や幸せをたくさん持っている人がそれを誰かに分けようとするのを見るといいなと思う。
2009.3.1sun