‘Safety Myth’ Left Japan Ripe for Nuclear Crisis
原発危機の土壌となった日本の「安全神話」
government –mandated school textbook: 「政府指定の教科書」
single-mindedly:「ひたすらに」
register:「登録する」という意味でよく使われる動詞ですが、この場合「意識する」。「心に痕跡を残す」といったニュアンスです。
underpin:「支える」
holy grail:「聖杯」転じて、「至高の目標」
in hindsight:「結果論ではあるが」
要約:
日本の原子力産業と政府は、国民に「安全神話」を信じさせるために数十年に渡って大金を費やしてきた。その結果、原子力産業そのものが自ら神話を信奉し、有事への備えを怠ってきた。ロボット先進国である日本で事故処理用のロボットが開発されなかったのも、福島での事故発生後の対応が遅れたのも、この安全神話への信仰に負うところが大きい。
日本国民は政府の言うことを反射的に信用する傾向があり、最もリスクが大きいはずの原発立地の住民さえ、チェルノブイリ後も「絶対安全」を批判なく受け入れている。
教育面でも、中学の社会科の教科書でヨーロッパでの原発反対運動についての記載が削除されるなど、原発の安全性に疑問を抱かせる情報は意図的に省かれてきた。
特にチェルノブイリ後は、放射能に最も大きな不安を抱いていた若い母親層を対象に、原発PR施設を「ファンタジック(夢想的)」なテーマパークに作り変えていった。志賀原発に併設されたPR施設では、不思議の国のアリスが仲間たちと一緒に原発の安全性を解説する。
だが、ドードー鳥もイモムシも、津波の危険については最後まで教えてくれない。福島での事故後も、最も熱心に原発を支持しているのは若年層であることが意見調査でわかっている。神話の効果は、今も消えていない。(NY在住の翻訳家、横島智子)
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長い記事ですが、語彙や言い回しはシンプルで、読み進めやすいと思います。皮肉っぽい表現も多くみられ、かなり批判的な内容になっています。要約では省きましたが、戦後の日本が原発促進へと歩みを進めていった背景についても詳しく述べられています。