Japan Finds Story of Hope in Undertaker Who Offered Calm Amid Disaster
震災のさなか、安らぎをつむいだ葬儀人に希望を見出す日本

単語・イディオム
makeshift:「仮の、その場しのぎの」
well-versed:「精通した」
rubble:「がれき」
caught on:「理解や人気を得て広まる」

要約
「冷たい土の上でひとりぼっちで横たわる母の遺体を見るのが怖かった。でも到着してみると、母は安らかで綺麗な顔をしていました。誰かが母の世話をしてくれていたのです。そのことに救われました」
約4万人の住人のうち千名以上が犠牲になった岩手県釜石市で、震災直後から次々運び込まれる遺体の泥をふき取り、話しかけ、表情を整え続けた元葬儀人の物語が日本でベストセラーになっている。
長年葬儀屋を営んできた千葉さんは、震災後に人を探して訪れた仮設遺体安置所で、泥だらけでビニールシートに包まれたままのおびただしい数の遺体を目にした。「このような状態のご遺体を見たら、ご家族は耐えられないだろうと思いました。日本では、死者をまだ生きているように敬意をもって扱います。
生き残った者を慰めるせめてもの方法なのです」千葉さんの思いは伝わり、安置所には急ごしらえの祭壇がしつらえられ、市の職員は遺体が運びだされるたびに列をなして頭を垂れた。近くの寺の住職である柴崎氏は言う。
「信仰心の有無にかかわらず、死者を弔うのは人間にとってとても大切なことです。弔いはご遺体のお世話をすることから始まります。人は、愛する人を生きていた時と同じ姿で覚えていたいと思うものなのです」(NY在住の翻訳家、横島智子)

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コメント
淡々と描かれていますが、心を打たれる記事でした。死者を敬い、できる限り丁寧に扱いたいという日本独特の優しいまなざしが、英語の視点で描写されることでより際立って感じられると思います。