アサーティブ(assertive)という言葉がある。バイリンガルのアメリカ人の友人は「この言葉ってうまく表現する日本語がないよね」と言う。自己主張的と訳されることもあるが、ちょっと感じが違う。自己主張というと何となく他者を押しのけるニュアンスもあるが、英語のアサーティブは、より「自分の気持ちや考えをきちんと述べる」とのニュアンスが強い。

 では、アサーティブになるにはどうするか。前述の知人は、大学でアサーティブになるための講義をしている。彼女によると、アサーティブになるためには「イエス、ノー、イエス」のステップが大切だという。

 まず、最初は心のなかでつぶやく自分に対するイエス、である。自分の考えに自信をもって話そう、と心で確認。次にノーは、「感情をともなわない」ノー、「事実を客観的にとらえた」ノーである。最後のイエスは「ネゴシエーション(交渉)」でのイエス。別の選択肢の提案だ。

 例えば、前から予定していた週末の旅行の日。突然、上司が仕事を頼んできた場合、アサーティブでけんかにならない断り方はどんなものか。

 まず、第1ステップ。心のなかで週末は仕事できないことを確認し、ノーという態勢をつくる。第2ステップ。今週は、「私は」前から予定がありダメなんです、とノーを言う。このときの主語は、「私」であることが大事。「あなた」を主語にして「あなたはいつも急に仕事を言いつける」などと叫べば、感情的になり、相手は非難された気分になる。そして第3ステップ。今週はダメですが、前もって言ってくれれば週末でも大丈夫なこともあります、とネゴシエーションのイエスをつけ加える。

 こんなステップを踏むと、上手に自分の意見を伝えられるものだとか。さて、うまくいくだろうか。お試しください。