アメリカの社会学者の論文を読んでいたら、ちょっと驚くデータが発表されていた。国別に、「結果が不確実なことを避ける傾向」についてランキングをつけている。つまり、結果がはっきり良いとわかったものでないと一歩踏み出さない、という傾向の調査で、日本は対象の約40カ国の中で最もその傾向が強いのであった。

 新しいものがイヤなのではない。そのことやそのものが確実に売れたり、効果をあげることが重要で、つまり結果至上主義とでもいうのだろうか。
 どうだかわからないけどまあやってみるか、ということは比較的少ないということなのである。

 参考までに、結果が不確実なことを避けないお国柄は北欧のスウェーデンなど。アメリカは両者の中間くらいだった。ちなみに、この指標が「男性優位度」と組み合わされて統計処理されており、その表を見ると、日本は飛び抜けて不確実性回避と男性優位度が高く、驚いてしまったというわけだ。

 不確実性回避傾向というのは、別の見方をすれば堅実でリスクも少ないということになる。しかし一方では、リスクがありながらも大進展、大成功ということも少ないだろう。このような傾向は単に社会の慣習というだけではなく、日本人の遺伝子の特徴ともかかわっているかもしれない。

 遺伝子の中には「新奇探求遺伝子」というものがある。こうした配列をもつ人は、新しいことに興味をもち、結果はともあれ次々とやってみる傾向があるといわれている。欧米人にはそうした遺伝子をもつ人が多いが、日本人には少ないとされている。堅実型は、こつこつと安定した仕事を続けるには向いている。

 さて、長年の社会の傾向は、それに気づくことが大切だ。我々の社会は、結果が見えないと動かないという問題点に気づくことが、変化の第一歩になるかもしれない。