金曜の夜、電車の中で騒いでいる中年の男性がいた。何を叫んでいるのかと思って聞いていたら「金曜の夜はきらいだ、さみしいんだ」という内容。
同じ日、レストランで食事をしていたら、窓の外を歩いている男性が同様の内容を大声で騒いでいる。
確かこの季節、休日を独りぼっちで過ごすのはなかなか厳しい。感謝祭が終わったボストンの街は、ビルもデパートもクリスマスの飾りつけがあふれ、不況のなかセールが行われて家族へのプレゼントを買う人々が目立つ。
家族というのはわずらわしさの元にもなるが、離れてしまうとさみしい。一緒にいる間はお互いのよさに気づかないのが残念なことである。
アメリカでは、さまざまなコミュニティーグループが活動している。がん患者やエイズ患者のグループもあるし、教育やアルコール依存症の治療のグループも活発に活動している。一人でものごとを抱えこまず、共にわかちあって孤独感を軽くするにはコミュニティーグループの活動が効果的だ。
アメリカを目標に進んできた日本でも、孤独感を感じる人たちは確実に増えている。ボストンの男性のように大声で「さみしいんだ」と叫びはしないが、一人でパソコンに向かったり、ゲームにのめりこんだりして孤独に気づかないようにしている傾向が強い。
孤独をうめるために人とのかかわりを求めてコミュニティーグループを作るのか、あるいは一人でパソコンに向かい機械と対するのか、大きく二つの方向性があると思うが、あと二つ、私はかつて日本人が持っていた「自然とのかかわり」を加えてほしいと考えている。自然の中で過ごすひとときは、心をほっとさせてくれるはずである。
今年も残りわずか。クリスマス、お正月、と家族で過ごす時間が増える季節。まわりがにぎやかになるほど、一人暮らしの方の孤独が気になってしまう。