試験のシーズンだが、試験の前というと風邪をひいてしまう人がいる。
 Aさんは大事な試験の1週間前に風邪をひき、母親から「プレッシャーに弱いんだから」と言われ、自信をなくしてしまった。

 Bさんは仕事でプレゼンをしなければいけない時、必ずといっていいほど風邪をひく。そういえば、若いころは試験の前というと風邪をひきました、とBさんは言う。

 大事な仕事や試験やここぞという時に体調を崩すと、プレッシャーに弱いとか、緊張しすぎとか言われてしまう。だから、体調の悪さに加え、「自分は精神的に弱い人間だ」と自信を失いやすい。体調不良に自信喪失が加わればいい結果は出にくい。一度失敗すると、「プレッシャーに弱い」と自分にレッテルをはるから、再び大事な時に体調を崩すことになる。

 体調万全で試験や試合に臨めるならそれが一番だが。風邪をひくのはそんなに悪いことだろうか。実は、私もついさきごろ風邪をひき、鼻水とのどの痛みがひどい時にハーバード大学の研究班のミーティングで、研究の経過報告をしなければならなくなった。

 本来なら報告内容を一生懸命吟味するところなのだが、なにせ鼻水がひどく、話の間にくしゃみが出ないようにとか、声がかすれるのでなんとか声を出そうとすることで頭がいっぱい。おかげで緊張するひまがなかった。

 そう。風邪をひくといいこともある。力が抜けるのだ。余計な緊張がどこにもなくなる。頭がぼーっとするのは困るが、緊張して力が入りすぎても実力は出せない。

 試験や大事な仕事の前に風邪をひいたら、自分は弱い、と落ち込まないでほしい。力が抜けていいんだ、ととらえてはいかが。風邪をひく人は、余計な緊張をとった方がいいタイプなのかも。ちょっとぐらいは体調不良でも大丈夫ですよ。

2009.2.8.sun