米国滞在から日本に帰ってちょっと驚いたのは、ツイッターに対する過剰反応と否定的見解の多さである。週刊誌の見出しには「亡国論」とまであり、びっくり。研究室の仲間にその話をしたら「なぜ?}と不思議がられた。

 というのは、この2月末にハーバード大学の研究室で「禁煙情報」をツイートするアカウントを立ち上げ、健康に関するコミュニケーションの一環として、この新しい通信手段を使っているからである。「ツイッターを立ち上げたから、フォローしてよ」というメールがスタッフから送られてきたばかりだ。つまり、私たちにとって、ツイッターは健康に関する正しい情報を流せる手段という認識である。

 ご存じない方のため簡単に説明すると、ツイッターとは、140字以内にまとめた情報をインターネットに流して、それに興味のある人は、情報源をフォローできるというもの。つまり短い情報を最新の状態で得ることができる手段である。

 まちがってはいけないのは。「手段」や「技術」自体が「亡国」するのではない、ということだ。たとえば車は有効な交通手段だが、人間が下手に使えば凶器にもなり、大気を汚染し、運動不足をひきおこす。車は亡国しないが、使う人間の資質が亡国のもとになる。とするとツイッター亡国論を唱える人は、日本人には、ツイッターを使いこなせないほど愚かな人が多い、と唱えていることになる。

 インターネットは有効だが、使う人によっては依存的にも犯罪源ともなる。ツイッターも同じだろう。上手に利点を利用し、どのように使えば人々の幸せに貢献するのかしっかり研究していくことが必要だろう。ということで、最近ソーシャルネットワークと健康についての研究チームをスタートさせた。やたらに拒否反応を示さず、新しい通信手段の平和利用を目指したいものだ。