最近、研修会やセミナーでの講演で話すと、びっくりすることがしばしばある。何がびっくりかというと、そのスケジュールの過密ぶり、である。
例えばあるセミナー。日曜日の朝10時から始まり、午前中が基調講演でお昼はワーキングランチ、午後は1時から講演がいくつか続いて終了は夜7時。途中の仕切りが悪く、講演が延びた。参加者は講演と講演の間に休むこともできず、3〜4分のトイレ休憩だけ。こんなスケジュールでは、集中力が低下するし、疲れる。無理があるなあ、自分ならこんなセミナーには参加しないなあ、と思ってしまう。
とくに感じるのは、司会進行の日本式ルールだ。進行をキープするより、長い話を優先する傾向があって、講演が時間内に収まらない。参加者は、平日に働いて日曜は一日中勉強し、また翌日から働くのだから大変だろう。
セミナーの企画コンセプトは、有名な講師をたくさん集めたからせいぜい勉強してください、休むヒマなんてないでしょう、なのかもしれない。人間の生理的条件をあまりに無視しすぎ。このやり方は日本式の精神至上主義だなあ、とも思う。勉強は歯をくいしばってガンバル、というスタイル。
しかし、人間は精神力だけではもたない。研修もスポーツと同じで、コンディション調整が研修内容とほぼ等しい重要度をもっている。空腹、脱水、睡眠不足は、精神力だけではカバーできない。私自身は、仕事の時、仕事内容は当然だが、コンディショニングにもとても気をつかう。体調は心にも大きく影響するからだ。
さらにもう一点。早朝や夜の社内研修会には、おいしい飲み物や食べ物を用意してはどうかと思う。不況だからとカットしたくなるのだろうが、一生懸命働いている社員がほっとするちょっとした心くばりは、意欲と集中力に影響して、お金で買えないものに変わるように思う。