共働きの若夫婦、お互いに疲れて帰ってきてこれから夕食の準備をしなければならない。妻が「疲れたー」とこぼしながら準備を始めた時、夫がどんな言葉を発したら妻はカチンとくるでしょう。

「オレも疲れた」
「手伝ってあげようか」
「何かとろうか」

 さていかがでしょう。あなたならどんな言葉でカチンときますか。あるいはどんな言葉をかけますか。

 私なら最もカチンとくるのは2番目の「手伝ってあげようか」。男性は疑問があるかもしれない。「手伝おうか」ならとてもうれしい。途端に疲れもとぶだろう。でも「手伝ってあげようか」はいけない。その言葉には、本来自分がやる役目ではないのにやってあげるという意味が含まれる。夫と同様に働き、収入を家計に入れている妻としてはこの姿勢が嫌なのだ。

 「初期値の違い」という概念がある。女性なら魚を焼けるのは当たり前でも、男性が焼くとすごい、偉いと言われたりする。学生に「お母さんは洗濯機使える?」と聞くと、「当たり前」と答えるが、「じゃ、お父さんはどう?」と聞くと「うーん、多分使えると思うけど」などと答える。初期値、すなわち期待される最低レベルが男女では違う。そうしたことが夕食の支度にもあらわれるのだろう。

 支度するのは疲れていても自分の役目だ、と多くの女性が思っている。もともとそういう教育をされていない男性に同じようにやってほしいとは思っていない。でも自分でできることを率先してやろうとする男性が夫だったらどんなにいいだろうと女性たちは思っているはず。それを「上から目線」でやってあげるなんていわれるとカチンとくるのだ。男女の初期値の違いを知っているとこうしたすれ違いは少なくなるはず。ご注意を。