海原純子の医学講座
爪


生まれつきの顛立ちよりも『いい顛』が重要


 
第一印象をよくする表情、感じのよい顔を決定する要素は何だとお思いですか? 髪がきれい、瞳が輝いている、引き締まった顔立ち等々。では、『いい顔』をつくるポイントについてメディカルに考えてみましょう。

 会ったときに「うわあ、イヤだ」と思う人っているものですね。いわゆるイヤな感じの人。そのイヤな要素のひとつは不満顔です。知人のE子さんはなぜかいつも不満顔。

 顔をしかめ、眉を寄せ、唇をつき出していることが多いのです。最近のモデルたちがこんな表情で撮影をしている影響でしょうか。知らない人が見ると、自分がE子さんに気に入らないことでも言ったのかしら、と心配になる表情です。この表情が相手に不安を与え、イヤな感じを引きおこしてしまうのでしょう。

 不満顔をしていると、筋肉の走向が下降します。頼の筋肉と口角の筋肉が下へ下へと移動するため、居間にシワができて早く老けこむ顔になることは間違いありません。いつもにこにこしている必要はないけれど、不満顔になっていないかどうかチェックをすることは大切です。

 私は仕事でイヤなことがあると、化粧室にかけこんで鏡に向かい、片側ずつ口角をあげて筋肉をアップさせることがあります。次にあくびをするように口を大きく開けて、5秒間その位置を保ちます。これは、「微顔のリハビリテーション」と名づけている、Dr.純子流不満顔対策兼顔面筋トレーニングです。あなたも試してみてはいかが。

 さて、小さな顔でものっペりした感じを与える顔は、パワーがありません。何となく頼りなくてはかなげといえばきこえはよいのですが、大丈夫なのかなあ、あまり信用できないなあ、幼いなあ、という印象の顔です。

 このテの顔のもち主には共通した特徴があります。それは食事をしたとき、「やわらか−い、おいし−い」という言葉を発することが多いということです。やわらかいものだけがおいしいと思っている人、しつかりものを噛まない人、外食ばかりしている人は、あごの発達がよくありません。あごのラインがしっかりしていないために、意志の弱い感じの顔、小さくてもメリハリのない顔になる傾向があるのです。

<あなたは大丈夫?『いい顔』を遠ざける9つのポイント>

1)かたいものを食べない、食事時間は30分以内である
2)すぐ車に乗ってしまう、運動もほとんどしない
3)油抜きダイニットをしている
4)外食が多く、ファーストフードやできあいのお弁当をよく食べる
5)便秘しやすい
6)お酒を飲むときビール大びん1.5本以上またはウイスキーダブル2杯以上または日本酒1.5合以上飲む
7)ブラッシングやシャンプーのあとたくさん髪が抜ける
8)朝、食欲がない
9)朝起きたとき「また仕事か」と憂鬱になる

 いかがでしたか、このポイントはどれひとつとっても美しい顔の大敵になります。対策を考えながら、なぜこれが悪いのかについてお話ししましょう。

処方箋9 いい顔をつくるためのメディカル対策メニュー


●メニュー1●顔に輝きをつくる「ビタミンE」

しめじのオリーブオイルソテー 青のり、松の実ぞえ

 しめじ1パックをエクストラバージンオリーブオイルで軽く炒め、ハーブソルトで味つけし、青のりと松の実をかける。
 チェックポイント3番目にあてはまる油抜きダイエット中の方は、このメニューを試してください。ビタミンE不足で、顔のつやがなくなっている可能性があります。ビタミンEは、活性酸素対策には必須。オイルを使用しても、しめじはノーカロリーですから、ダイエットに支障はありません。

●メニュー2●ピンク色の頼をつくる「いわし」

 いわし中1尾を三枚におろす。網焼きにして七味をかけ、しその葉をちらす。大根おろしをそえること。
 ポルトガルの海岸にナザレという町があります。町中にサーディンを焼く煙がたちこめているのですが、この地方の女性たちの肌はピンク色で輝いています。いわしに含まれるエイコサペンタエン酸が血行をよくしているからでしょう。
 肌につやがない人はお試しください。大根おろしをそえてカリウムを補給し、むくみを防ぐと一石二鳥。

●メニュー3●顔のくすみをとる「春菊ビうふ」

 春菊2分の1わをさっと湯通ししてしぽり、おぽろどうふ大さじ3杯を加えて軽くまぜ、黒ごまを適宜ふり、ボン酢でいただく。
チェックポイント6でお酒の量が多い方(チェックの量以上飲むと肝臓に負担がかかります)は肝臓をいたわってあげてください。肝臓に負担がかかると、顔色がくすんで茶黄色になることがあります。白目の部分も黄色を帯びてくるので要注意です。こんなときは、高タンパク低脂肪のメニューがよいのです。とうふのタンパク質で肝臓をいたわり、春菊で鉄分を補給して、アルコールを飲んだあとのバランスをとってみてください。 

●メニュー4●顔の輪郭をシエイプアップする「乾物三昧」

 わかめ(なるべく品質のよいもの。水でもどしたときにこしのあるものがよい)適宜、山くらげ、切り干し大根を水でもどす。ボン酢(もしくは三杯酢)をかける。きゅうり細切り、かぶ細切りを加え、白ごまをかければさらによい。

 食物繊維がたっぶり含まれ、便秘予防になるのはもちろん、外食が多い人はこの言mできれいになれること間違いなし。その理由は、外食、ファーストフードを食べているとナトリウム摂取過剰になり、顔のむくみの原因になるからです。
 海藻の繊維でナトリウムの吸収を防ぎましょう。また、山くらげや切り干し大根は噛みごたえのある食物です。しつかり噛むことによってあごの筋肉がしっかりしてくるので、ラインがすっきりします。

●メニュー5●朝の顔をすっきりさせる「オレンジ」

 オレンジ1個をしばり、時間があればりんご4分の1個をジュースにして加える。
 前日飲みすぎ、食べすぎたときはオレンジ、りんごに含まれるカリウムでむくみをとりましょう。さらに、りんごには整腸作用があるので、胃が重い、もたれるときには効果があります。

大事なのは心と顔の関係


 さて、いろいろとお話ししてきましたが、誤解しないでいただきたいのは、食事だけ気をつけていればきれいになれるわけじゃない、ということです。何よりも大切で、顔立ちを美しくするのはその人の生き方なのだと感じます。

 というのは、興味のあることがいっぱいで生活を楽しんでいる女性は睦も輝いていますが、毎日をイライラと過ごしている人は顔つきも暗い。さらに、きれいになることだけを人生の目標にしているような人も、皮肉なことにきれいになれない、という事実があるのです。
 イライラするとストレスで下垂体のホルモンバランスはくずれます。この影響で甲状腺の機能が低下気味になります。

 また、ダイエットでホルモンバランスが乱れると、髪が抜けやすく、薄くなるという結果に陥ることがあります。顔色もくすんで、黒っぽく色素沈着しやすくなります。誰かに嫉妬したり羨卦しがったりばかりいて不満がいっぱいだったり、人生の目標をやせることやきれいになることだけにすると、決して心をすっきりさせることはできないでしょう。顔立ちをすっきりさせるには、まず心のぜい肉を落とすことかもしれません。

 食事を人まかせの外食に頼らず、自分でつくろうとすることは、自分を大切にいたわることになります。きれいになるには、人まかせは禁物。エステ通いもいいけれど、きれいになるにはあなたのライフスタイルが決め手になるのではないでしょうか。
 アイデンティティーを確立した、すてきな大人の女がふえますように。