海原純子の医学講座
爪

 29歳、OLをしているG子さんは最近化粧ののりが悪く、新製品のコスメを試してみても、いまひとつすっきりしないで悩んでいるそうです。睡眠不足や不規則な生活のためかしら、と不安になり、生活改善しょうとしても長続きしないとのこと。てっとり早くメイクのりをよくする方法はないかしらと、ぽやいています。

 メイクののりのよい人と悪い人、どこからその差が出てくるとお思いですか。ライフスタイルと性格、これが2つのポイントです。
 それではさっそく、91ページのテストであなたのライフスタイルをチェックしてみましょう。そのあとで、メイクのりをよくするための緊急対策をお話しします。

チェックリスト(7)
  あなたのメイク映えをライフスタイルでチェックする

当てはまるものにチェックを付けてください。
1
床暖房の部屋にいる、または静電気がおきるほど乾燥した部屋で連続6時間以上仕事をしている
2
電気毛布で寝ている
3
水分をあまりとらない
4
肩こりがひどい
5
タバコを朝起きたときに吸う
6
朝、出がけにボタンが取れたりすると、「何かよくないことがおきるのでは」と心配になる
7
水道の蛇口や玄関のカギが気になって、外出してから何度も引き返すことがある
8
ものごとがうまくいくと、「これはまぐれで次はよくないことがおきるのでは」と心配になる
9
激辛の味つけが好き
10 便秘することが多い
11 肉類はまったく食べないし青背の魚もきらい
12 ワープロ、コンピュータの仕事をしている


いかがでしょうか。
12項目中4項目以上あてはまる方はメイクののりが悪くなる可能性大です


処方箋(11) 即効性の強い、メイクのりをよくする部分別対策


● 処方1●目のホットパック

 仕事で目を使う方、ワープロやコンピュータで目が疲れたとき、もしくは徹夜明けでまぶたが腫れぽったいときには、まぶたのホットパックが有効です。電子レンジで蒸しタオルをつくり、8分間温めてください。その後、まぶたと鼻の間を軽く指圧、これでメイクをするとのりがよくなるはずです。

● 処方2●カリウムで腫れをとる

・起きぬけのライム+ヴィッテル
 ヴィッテルをグラスに200ミリリットル注ぎ、ライム1個をしぽって入れる。甘みは適宜。

 外食の多いとき、食べすぎたときは目が腫れぼったくなったり、顔がむくみやすくなるもの。これではメイク映えはしませんね。腫れの原因は塩分、つまりナトリウムのとりすぎにあります。ナトリウムのとりすぎには、それを腎臓から素早く排泄させる電解質、カリウムをとるのがいちばんです。

 カリウムを多く含む食物はレモン、ライムなどの柑橘類。これをしぼって朝起きぬけに1杯飲むのが効果的といえます。保存料が入らない手づくりのライム水、レモネードをどうぞ。このとき、マグネシウムの多く入ったミネラルウォーターをいっしょに飲むと、さらに塩分排泄に効果的、そのうえ便秘予防にもなります。ライムがないときはレモンをしぼってもよいですし、オレンジやボンカンを半分にカットしてジュースにしても結構です。

● 処方3●カサカサ皮膚対策

・インスタント密封療法ODT
 顔と手を洗ったあと、ミネラルウォーターで使いつけのクリームを液状にのばし、顔全体と手につける。ラップ材をその上にのせ、3分間パックする。

 皮膚科では、薬の浸透をよくするために、プラスチックフィルムで密封する方法が使われています(ODT=閉鎖包帯法)が、これはそのインスタント版。メイク前にすることでクリームの吸収がよくなり、メイクののりもよくなります。
 乾燥したオフィスで仕事をする人は、デスクの上にミネラルウォーターを置き、水分を補給することも忘れずに。

 電気毛布で寝ている人、床暖房の部屋にいる人は、朝起きたとき、1度うがいをしてからミネラルウォーターを飲んでおくと、皮膚のカサカサは改善します。

●処方4●リップライン対策

・菜の花のおひたしごまぞえ

 唇の周囲があれたり唇の皮がむけてしまう人は、ビタミンB2不足の可能性大。こんなときにはビタミンB2を含む野菜、菜の花を使っておひたしをつくりましょう。菜の花にはビタミンB2の他カルシウムや鉄もたっぶり。ビタミンB2は納豆やかき、とうふにも多く含まれているので、かき鍋におとうふを加えてもいいでしょう。

●処方5●顔色をよくし白目を美しくする

・あさりの酒蒸し
 あさり1パックを砂抜きし、お酒1合といっしょに鍋に入れて煮、数分蒸せばできあがり。昆布1枚を加えてみると、香りもよくおいしく食べられます。

 顔色が悪い、無気力という人やダイエット中の方、肉や青背の魚をまったく食べない人はビタミンB12が不足している可能性があります。ビタミンB12は赤血球を丈夫にするビタミンで、顔色をよくして白目を美しくします。また、神経を落ち着かせ、リラックスするのに必要な要素のひとつといえます。あさりやしじみでビタミンB12の補給をしてみましょう。

●処方6●顔のつやをよくする一品

・きのこのオリーブオイル炒め
 食物繊維たっぶりのきのこ (しめじ1パック) をオリーブオイルで炒め、クレージーソルトで味つけすればできあがり。青のりを加えると香りがよくなります。

 顔のシワが気になる人は、老化対策にビタミンEをとることにしましょう。老化の引き金になるフリーラジカル (活性酸素)を防止するには、ビタミンEが不可欠です。ビタミンEは、体の酸化を防ぐ「抗酸化物質」だという話はもうご存じですよね。

●処方7●首のラインをすっきりさせる

・胸鎖乳突筋ラベンダーマッサージ
 タオルとラベンダーのエッセンシヤルオイルを用意してください。ラベンダーオイルをぬらしたタオルに1滴落とし、電子レンジで数秒あたため蒸しタオルをつくります。首のうしろと首の横、胸鎖乳突筋の部分を、蒸しタオルで5分間ホットパックしてください。そのあと首のうしろ、骨の横指1本のラインをゆっくり押してみましょう。首筋の筋肉も同様に軽く指圧してください。

 一日中デスクワークで首こりの人は、首筋が緊張して顔の表情筋がリラックスしません。こんなとき、顔だけをマッサージしても緊張はほぐれないものです。

●処方8●明るい表情をつくるイメージトレーニング

 性格的にひとつのことが気になり、つい、悪いほうへ悪いほうへと連想してしまう人、イヤなことばかり考える人は表情が暗くなり、メイクしても映えないという結果になります。

 鏡を見て、まず自分の好きな部分、よいところを探してください。続いていつもより10分早起きして、ゆっくりハーブティーを飲みましょう。軽く目を閉じて、こうなりたい自分のイメージを思い浮かべてください。今日こうなるといいなというイメージもいっしょにどうぞ。自分が今までに行ったいちばん気に入ったところを思い浮かべ、ゆっくり深呼吸。

 交感神経の緊張をゆるめ、リラックスすることで表情はやさしくおだやかになるはずです。試してみてください。

 さて、いろいろと処方箋をお話ししてきましたが、もうひとつつけ加えるとすれば、タバコのことでしょうか。
 タバコは長期的にみて体によくないことはご存じでしょうが、メイクにとってもあまりよくありません。ニコチンが血管を収縮させるために顔色が悪くなってしまうからです。朝起きたときにタバコを一服すると、化粧ののりは悪くなってしまいます。要注意。

 それではどうぞきれいになってください。