必死にダイエットをして体重は減っているのに何となく体がむくみがち、腫れぼったくてすっきりしない、という悩みをきくことが多いものです。
体重は減っているのに「きれい」でない、と感じる人は要注意。むくんでいる可能性が大きいからです。
私は、「拒食症型顔貌」と名づけているのですが、
・体は細いのに顔が大きい感じ
・表情に乏しい
・顔の輪郭がはっきりしない
・目が腫れぽったい感じ
こんな特徴のある人は、とくに「むくみ」対策にカを入れる必要ありといえます。体重を減らすことにばかり気をとられていると思わぬワナ-むくみ-に陥ります。
なぜですって?
それは体の水分代謝や、電解質バランスについての知識がないからだと思います。
そこでここでは、電解質のバランスを知って、むくみをとり、すっきりしたボディを手に入れることをテーマにしましょう。
私たちの体重の50〜60パーセントは水分で占められていることはみなさんご存じだと思います。
その水分のうち、およそ3分の1は細胞外液、3分の2は細胞内液といわれています。細胞内液とは細胞の内に存在し、外液は血祭として全身を循環している他、組織のすき問に存在しています。むくみとは、細胞外液が組織のすき問に異常にたまった状態をいいます。
細胞内液と外液は自由に出入りしていますが、この水分の移動のキーをにぎっているのが電解質と呼ばれる物質です。そしてこの電解質がバランスを保つことにより、水分の代謝が均衡を保っているといっていいでしょう。
その電解質が、ナトリウム、カリウムなどの物質です。
体内のナトリウムやカリウムのバランスが乱れると、むくみの原因になる−こう考えてください。
たとえば心臓や腎臓の機能が低下したような場合、体にむくみがおこります。体内にナトリウムがたまりすぎ、水分の排泄がうまくいかなくなるからです。
心臓の機能が低下したときは、下肢や手の甲を押すとそのまま形がついてしまうようなむくみがおこりますし、腎臓の機能が低下すると、まぶたが腫れぼったくむくんできます。
元気な人でも塩分をとりすぎると、ナトリウム過剰状態となり、体内にナトリウムがたまってむくみがおこります。1日に20グラム塩分をとるとむくむといわれているので、塩からいものを食べすぎると翌朝のフェイスラインはすっきりしないはず。
また、ダイエット等でタンパク質を摂取しないと、栄養状態が悪くなり、血液中のタンパク質の濃度が低下するために、細胞内液と外液のバランスをとろうとして、内液が外に渉み出てくるような現象がおこります。
このために、むくみが発生します。
さらにビタミンBlが欠乏すると下腿にむくみがおこり、足が腫れぼったい等の症状も発生。しじゆう下剤を使っている人も体内の電解質バランスがくずれ、カリウムが失われて、これまたむくみが発生します。
急激に体重を減らすと(1カ月に5キログラム以上)、脳の視床下部のホルモン分泌が低下することがあります。この分泌低下により、甲状腺ホルモンの分泌低下がおこり、これが原因で顔が腫れぽったくなることもあるのです。
さきほどお話しした「拒食症型顔貌」がなぜおきるかがおわかりになったでしょう。
ちょっとした知識でむくみ知らずの顔になる
むくみに勝つためには、電解質バランスを保つことが大切、ということ、何となくおわかりになったと思います。その第1ステップとして、ナトリウムをとりすぎないことをあげたいと思います。
ナトリウム…簡単にいうと、塩分をとりすぎないことといえるでしょう。
1日の食塩摂取は10グラム以下が望ましいといわれていますが、私は美しくなるためには、そして若さをキープするためには、1日7グラム程度におさえる必要があると思います。
塩分をひかえるには、自分でつくる料理にだしをきかせて(もちろん化学調味料など使わず昆布をなべに入れれば簡単)、塩、しようゆをひかえめにすることが大切。外食のときはその塩分量を知っておくことです。
たとえばちらし寿司には約4.2グラム、親子丼には3.8グラム、ラザニアで3グラム、茶きん寿司1個で1.2グラム、お吸い物1杯は1〜l.5グラム。
意外に気をぬけないのが主食にするものの塩分量です。パンとごはん、パスタ、そば。あなたはどれが塩分が少ないと思いますか。
玄米、精白米とも茶わん1杯で0.01グラムなのに対し、食パンl枚は0.7グラム。ライ麦パン0.4グラム。パンはごはんにくらべて、なんと数十倍塩分とりすぎになりやすいわけです。さらにハムなど加工品を加えると、ロースハム2枚で1グラムの塩分がありますからこれは要注意。
さて、女性に人気のめん類ですが、ゆでたそば200グラムで0.01グラム、パスタは乾燥したもの100グラムで0・01グラム、ゆでうどん1玉で0.25グラム。
そばやパスタは、つけあわせさえ気をつければ塩分はひかえめにできるはずです。
塩分のとりすぎについて考えてきましたが、次に強力な対策としては、余分なナトリウムを体に吸収させないように心がけることと、とってしまったナトリウムをすばやく排泄させることです。
ナトリウムが消化管から吸収されないようにするには、食物繊維をとることです。食物繊維により、とりすぎた余分なナトリウムを吸収させないことが可能です。お吸い物にわかめなどの海藻を入れるのは生活の知恵ですね。塩分が多くなりがちな夕食には、海藻をつけあわせてください。
最近はお寿司屋さんでも、つまみに味のついていないわかめを出すところがあり、なるほどと思うことがあります。海藻でナトリウムを吸収しないようにしましょう。
次にとりすぎたナトリウムをすばやく排泄させるのに重要な働きをしてくれるのがカリウムです。
カリウムは電解質バランスによって、余分なナトリウムを排泄させる働きがあるのです。ナトリウムをとりすぎたな、と思ったら、むくむ前に、カリウムを含む食べ物をとってください。カリウムを多く含むものは、オレンジ、すいか、洋なし。野菜では大根がおすすめです。
焼き魚に大根おろしをつけあわせるのはナトリウム排泄に役立つはず。とりすぎたナ
トリウムは朝1個のオレンジ、夕食の大根おろしで排泄してください。
むくみを防ぐライフスタイル
外食のときもひと工夫。お昼はサンドイッチよりも和定食のほうがナトリウムは少なくなるはず。みかんをひとつ食後に食べておくとカリウムの補給ができるものです。
夕食のお寿司屋さんでは、つまの大根を多めに食べておくとよいでしょう。フレンチのときは、デザートは柑橘類のソルベにすると、むくみを防ぐことができます。
イタリアンレストランでは、つけあわせにカリフラワーのボイルを頼んでみてはいかが。カリウムが豊富です。デザートにフルーツサラダでカリウムの補給をするのもよいでしょう。
ライフスタイルでもひと工夫をしてください。仕事から帰ってすぐ休んでしまうのはむくみの原因になります。お風呂を少しぬるめにしてゆっくり汗を出し、余分な水分とともにナトリウムを排泄してから眠るようにしてみてください。
ジュニパーというエッセンシヤルオイルは発汗作用が強いので、足浴をして充分汗を出すのもおすすめ。
ところで、1日のナトリウム排泄は昼間にくらべ夜間は3分の1に減少します。夕食の塩分とりすぎは要注意。また自律神経の影響で、楽しくすごすと利尿効果があり、イライラしたり緊張しすぎると、尿の出が悪くむくみやすくなるとされています。
むくみに勝ち、すっきりしたフェイスラインを保つには、電解質バランスを知り、ナトリウムを排泄してカリウムをしっかりとっておくこと、そしてイライラしない、つまりストレスをためないことでしょうか。