「老化」というとすぐ思い浮かぶのが肌、そして運動能力ではないでしょうか。
しかし、内臓も老化をおこしているのです。その最たるものが「腸」。「腸の老化が人体の老化を促進させている」といえるのです。
あなたは便秘や下痢に悩んでいませんか。排便がなくおなかがすっきりしないだけでなく、急に下痢になったり、おなかが痛くなったり…。そのような症状があるときは、肌あれもおこりやすくなるのは経験ずみでしょう。
このようなとき便秘をなおそうと薬を飲んだりしてもそれだけでは不完全。あなたの便秘は腸の老化が原因なのかもしれません。内臓からきれいになるために、腸の老化のメカニズムを知っておきましょう。
便秘は腸が老化している証です
「ウェルシュ菌」という言葉をきいたことがありますか?
ウェルシュ菌とは腸に住む菌のひとつです。
私たちの腸の中には実に100種類、100兆個の細菌が住みついています。細菌の中には、健康や美しさに有益な働きをする有用菌(善玉菌)と、炎症をおこしたり発ガン性のある物質をつくり出す有害菌(悪玉菌)があります。
善玉菌の代表といえるのはビフィズス菌と乳酸梓菌。腸内で乳酸や酢酸をつくることによって腸内部を酸性にして、この刺激により腸の蠕動運動が活発になり排便がスムーズに行われるわけです。
悪玉菌には、大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などがありますが、その代表はウェルシュ菌です。ウェルシュ菌は、タンパク質を分解して、アンモニア、アミン、インドールなどの物質をつくり出します。これらは悪臭のもとになり、さらにアミンは発ガン性物質のニトロソアミンの原料となります。
ウェルシュ菌が多くなると、腸はアルカリ性となり排便が妨害され便秘になるというわけです。老化現象をおこした腸では、ビフィズス菌が減少し、ウェルシュ菌が増加しています。
年齢による腸内細菌の差を測定したところ、出生直後は腸内はビフィズス菌が最優勢で、これが成人になるにつれウェルシュ菌が増加、65歳以上ではウェルシュ菌が優勢を占めるようになります。
俗にお年寄りは便秘がち、といいますが、これはウェルシュ菌のために腸の老化がおこっていることが原因です。
しかし最近では、年齢が若くても食生活のバランスが悪かったりストレスが多いと、腸内細菌のバランスが悪くなり、ウェルシュ菌がふえることがわかっています。
便秘になると、腸の中に有害物質が貯留する時間が長くなります。腸内に有害な物質が存在すると、それを吸収することになり、また腸壁の粘膜と有害物質の接触も長くなり、発ガン率が高くなるのです。
有害物質を吸収することにより肌あれをおこし、腸内に老廃物がたまることにより、やせていてもおなかが出てみえたり、ガスがたまってウエストサイズがふえてしまったり、と便秘は様々な症状をおこします。
腸はビタミンをつくつてきれいを保つ
美しさを保つのにビタミンが重要な働きをしていることはご存じのとおりです。毎日ビタミン剤を服用している方も多いと思いますが、腸内の善玉菌がビタミンを生成していること、知っていますか?
腸内の善玉菌は実にビタミンBl、B2、B6、B12、バントテン酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンKを合成する能力があるのです。
ビタミンB2は、唇や口のまわりを美しくするビタミンで、不足すると唇のあれや口唇炎、口角炎をおこします。また、皮膚のあれや皮膚炎もおこりやすくなります。
ビタミンB1は、糖を分解しエネルギーにかえる作用のあるビタミンで、不足すると、むくみや肩こりがおこりやすくなるのです。
腸内の善玉菌はこうした大切なビタミンを合成するのですが、善玉菌が少なく腸内悪玉菌がふえると、逆にビタミンを分解するアイリナーゼという酵素がふえ、ビタミンが破壊されてしまうことが指摘されています。
美しさを保つには腸内細菌バランスを善玉菌優位にしておくことが不可欠なのがおわかりですね。
世界三大美女のひとり、楊貴妃の秘密
あなたの腸内細菌バランスはどんな具合でしょうか。腸の老化は大丈夫かしら。
簡単にチェックしてみましょう。
腸内が善玉菌優位のとき、腸内は酸性となっています。このようなときは、便は黄色っぽくあまりにおいがありません。かたすぎずやわらかすぎず、形も小ぶりのバナナのような感じ。こうしたときは腸はきれいで元気といえます。
腸に悪玉菌が多くなると、腸内はアルカリ性に傾きます。このようなときは便は黒ずんだ色にかわり、水状だったり、逆にコロコロとウサギのフンのようだったり、カチカチになったりするのです。においも悪臭が漂うようになります。
余談になりますが、楊貴妃が便のにおいまでよくしようとして食物を工夫したという話を読んだことがあります。きれいになるには腸からきれいにする、という原則を楊貴妃は知っていたのかもしれません。
腸内善玉菌をふやすことが大事だということがおわかりになったと思うので、次にどのようにふやすかをお話しします。
それにはまず、ビフィズス菌をふやす食物をとることです。ビフィズス菌をふやす作用のある食物は食物繊維です。食物繊維は腸内ビフィズス菌をふやし、ビフィズス菌のつくる乳酸により、腸は嬬動を活発に行うようになります。
また食物繊維は余分な栄養成分の吸収をおさえて肥満を防ぎ、コレステロールをおさえて体外に排出させる作用もあるのです。
精製した炭水化物をとる人では食物の通過時間は76時間もかかるのに対し、精製していない炭水化物をとる人、つまり食物繊維を多くとる人では、食物の通過時間は35時間ですむという調査結果があります。
食物繊維をとることで腸内細菌バランスを良好にし、便秘を防ぐことができるのです。
さて、近年腸内ビフィズス菌をふやすことが知られているものにオリゴ糖があります。オリゴ糖は大豆、バナナ、玉ねぎ、グリーンアスパラなどに多く含まれています。
腸からきれいになる具体策
朝食をとらずに出かけるのは、顔を洗わず化粧もせずに外出するのと同じことです。朝起きて、まずミネラルウォーターをコップ1杯。大きく深呼吸をして酸素を体のすみずみまで行きわたらせましょう。ミネラルウォーターを飲むことによって、直腸反射をおこすことは腸のクリーンアップに大切なことです。
朝食にはプレーンヨーグルト200ミリリットルにいちご5〜6個、またはスライスバナナ1本。全粒粉のパンを1枚、好みでコーヒーなどがおすすめです。
ビフィズス菌の入ったヨーグルトにバナナでオリゴ糖を補給するわけです。フルーツは旬のもので代替してください。ただし、キウイやパイナップルはヨーグルトとまぜるとタンパク質分解酵素により苦みが出るのでご注意を。
夕食にとりたいものは、海藻の酢のものです。わかめの酢のものなど、お試しを。
ブロッコリーやカリフラワーを各1個ゆでてクレージーソルトを少々かける。大根を電子レンジでゆでてこれに白みそをつける等もおすすめです。
しいたけグリル、玉ねぎをスライスしてトマトをのせてグリルするのも、オリゴ糖補給ができるイタリア風つけあわせ。
外食をしても、酢のものと温野菜だけは自宅で食べるようにする、これが楊貴妃メニューです。
腸からきれいになるアプローチ、実践してみては…。