化粧ののりが悪かったりむくんだり、胃の調子もいまひとつ……。楽しいお洒ならまだ許せるけれど、仕事がらみやつきあいのお酒で顔が腫れぼったいなんてがまんならない、というあなたのために、お洒を飲んでも「きれい」を保つためのアドバイスをお話ししましょう。
処方箋(13) 酔いたくない!ときの秘訣
・お酒を飲む前にミルク200ミリリットルを飲んでおく。バナナ1本食べておくのもよい。
・空腹でアルコールを口にしない。食べる時間がないときは、お茶1杯でもいいから飲んでおく。
・キャンデーを用意しておき、お酒を飲んだあとなめておく。
・最初の1杯は発泡性アルコール飲料(ビール、シャンパン、スパークリングワイン)を一気に飲むのはなるべくひかえる。
・ おつまみを積極的につまみながら飲む。とうふ、鶏肉、モッツァレラチーズなど高タンパク食品をいっしょに食べる。
アルコールは、胃から20パーセント、残りの70〜80パーセントが空腸(小腸の前半部)から吸収されます。空腹時にアルコールを飲むと素早く吸収され血中アルコール濃度は上昇し、悪酔いの原因になります。
同じビールでも、空腹で飲むと10分後には血中アルコール濃度は0.07パーセントに上昇しますが、胃に食物が入っているときには、45分後にもアルコール濃度は0.05パーセントに達するにとどまります。
酔うか、酔わないか、の大切な決め手になるのは、胃に食物が入っているかいないかにかかっているのがおわかりでしょう。空腹のときの1杯がおいしいのはわかっています。でも酔いたくないときは胃にミルク1杯入れておくのがおすすめ。仕事以外のときに空腹の最初の1杯を楽しんでください。
パーティーの乾杯でシャンパンを1杯飲んだら酔いがまわってしまったという経験のある方も多いのでは。その原因は、シャンパンに含まれる「炭酸ガス」なのです。スパークリングワインやシャンパンに含まれる炭酸ガスは、アルコールが空腸から体内に吸収されるスピードを早めてしまいます。ですから、こうした発泡性アルコール飲料を空腹で一気に飲むと、悪酔いのもとになります。
さて、お酒を飲んでしばらくしたときに体にふるえがきたり、気分が悪くなってめまいがしたり、冷や汗が出たり、吐き気がしたりするときは、低血糖をおこしている可能性があります。こんなときはキャンデーやドロップ類を1〜2個なめておくと気分が回復するはず。悪酔いしたくないパーティーにはハンドバッグにキャンデーを入れておくことをおすすめします。
アペリティフとしてアルコールを上手に飲みたい、というときはアルコール濃度5〜10パーセントの飲料がおすすめです。というのはこの濃度のアルコールは胃酸の分泌を高め、副交感神経を刺激し、胃粘膜の防御機能を高めるからです。高濃度のアルコールは逆に胃液の分泌を低下させてしまいます。
胃腸の調子をよくするアペリティフとしてのアルコールは、ワイン、カンパリなどがよいでしょう。
アルコール代謝率は人によって異なります。アルコールを飲むとアルコール脱水素酵素によって分解されますが、この酵素の有無がアルコールに強いかどうかを決定するのはご存じのとおり。
大体の目安としては、ビール大びん1本に含まれるアルコール20グラムを分解するのには、最低2〜3時間が必要だということをおぼえておいてください。従って翌日アルコールを体内に残さないためにはアルコール量60グラム以内にすることです。
「ビール大びん3本、もしくは日本酒3合orウイスキーダブル3杯」が翌日までアルコールを残さない限界の量といえるでしょう。それ以上飲むと、たとえアルコールに強い人でもアルコールは残るものです。
処方箋(14) アルコールでむくまないためのメディカルポイント
・高タンパク食品を食べながらアルコールを飲む(冷や奴、煮豆、焼き魚などがよい)。
・帰宅してすぐに寝ない。シャワーをあび汗を流しておくorジュニパーのエッセンシヤルオイルで足浴15分。
・アルコール血中濃度と酒量との関係を知っておく。
・ビール1本or日本酒1合で、血中アルコール濃度0.02パーセント(爽快期)。
・日本酒2〜3合、ビール2〜3本で血中アルコール濃度0.05〜0.1パーセント(ほろ酔い初期)。
・まめに排尿してトイレをがまんしない。
・ほうれんそうのおひたしをつまみに頼む。
アルコールの飲みすぎで翌日むくむのがイヤな方は、飲んでいるあいだにトイレをがまんせずまめに排尿してください。さらに体内にナトリウムをためこまず、利尿をすみゃかにさせるためにほうれんそうのおひたしを頼みましょう。利尿作用をもつ電解質カリウムがたっぶり含まれているからです。ほうれんそうのおひたしがない場合は、春菊、白菜もカリウムを多く含んでいます。イタリアンディナーのときはトマト、なすでもよいでしょう。
帰宅してからシャワーをあびて汗を流したり、ジユニバーのエッセンシヤルオイルを入れて足洛し汗を流すと翌日のむくみを予防できます。
アルコールが老化を促進させる?
アルコールは、アルコール脱水素酵素によって分解されるのですが、このとき活性酸素を産生させることが最近わかってきました。この活性酸素によって、細胞が酸化ストレスを受け老化が促進されるわけです。
またアルコールを飲むとビタミンB欠乏症になり、口角炎や皮膚炎をおこしやすくなります。さらに鉄欠乏をきたしたり、体内からカ〜シウムが排出されることにより骨粗髭症やイライラがおこりやすくなります。加えて、女性の場合、アルコールを飲む人は乳ガンの危険性がアップし、更年期が早くなり、1日アルコール60グラム(ビール大びん3本)以上飲む人では、胎児アルコール症候群(子供が知的障害や顔面形成不全をおこす)をきたすといわれています。
むろん飲まないほうがいいのですが、でも上手に飲むのにはどうすればいいかポイントをあげておきましょう。
処方箋(15) 老化を防ぐ飲み方
・どうせ飲むなら赤ワインがおすすめ
・つまみに次のものを
おぽろどうふ2分の1丁+ごま少々+削り節、もしくは、モッツァレラチーズ+スライストマト
・アルコールを飲むときは春菊αほうれんそうのおひたしを食べる
・ 食後に柑橘類のデザートをとる
アルコールで不足しがちなカルシウムを春菊で補給、またアルコールにより活性酸素が発生するのをビタミンC、ビタミンEを含む食品で予防するのです。とうふを食べるときもビタミンEを含むごまをかけ、さらにカルシウムとビタミンEを含む削り節をかけておきましょう。ビタミンCを含むトマトには、カルシウムを含むモッツァレラチーズをあわせます。
柑橘類にはビタミンCとともにカリウムが含まれているのはご存じのとおり。
このように食べあわせを賢くして、アルコールによる体内の活性酸素発生を防ごうではありませんか。
最後に赤ワインの効用についてちょっとお話ししておきましょう。
赤ワインはぶどうの皮と種子を含めてつぶし、アルコールを発酵させています。この皮と種子に含まれるポリフエノール類がアルコール発酵するあいだに、強い抗酸化活性(動脈硬化を防ぎ活性酸素から組織を守る)をもつ物質に変わることが1995年に発見されました。
つまりは少量の赤ワインは老化防止に役立つというわけ。どうせ飲むなら赤ワインがよいというのはこうした理由なのです。
赤ワインとチーズの組み合わせが好きな私としては何となくうれしいのですが、みなさんはいかが?