・毎日どのくらい眠ればよいのか
・昼寝してはいけないのか
・寝つきをよくする方法はないか
・昼寝してはいけないのか
・寝つきをよくする方法はないか
という3つは、常に問題になることがらです。
睡眠時間はその人によって多く必要なことも、少なくて大丈夫なこともあるので、何時問必要、とは断定できません。
朝起きたとき充足感があり、満足が得られる時間があなたの必要睡眠時間ですが、一般的には6時間以上とることがのぞましい、といわれています。
多く眠らなければダメ、という人と少なくて大丈夫、という人とはどこがちがうか、その個人差はどこからくるか、に関しては、おもしろいデータがあります。
3歳から79歳までの人で基礎代謝率(安静にしているとき、どのくらいのエネルギーが必要か)を調べたところ、代謝率の高い人は低い人より多く眠っていることがわかりました。つまり代謝率が高い人は、眠ることによってエネルギーの消費をおさえて、体を休ませているといえます。
眠っているあいだの代謝率は、起きているときより20パーセントほど低下しますが、これは筋肉がリラックスするためといわれています。一般的に基礎代謝率は、若いほど高いので、多く寝なければダメという人は「若い」といえるかもしれません。
若いときと年をとったときとでは、眠りのパターンもかわってきます。 私たちは寝入ってしばらくすると深い眠り(ノンレム睡眠)に入り、約1時間たつと浅い眠り(レム睡眠)に入ります。浅い眠りのとき夢を見たり、筋肉のけいれんがおこったりするのはご存じのとおりです。浅い眠りは約10分間続き、再び深い眠りへと移行します。このパターンが4〜5回くりかえされて、覚醒がおこるのです。
ところで年をとると、深い眠りの占める時間が短縮されてくることが知られています。
眠り美人になるコツ
眠りの質をよくして深い充足感のある眠りを得ることは、美しくなる条件です。というのは、深い眠りのときに組織修復が行われているからです。
皮層などの組織を若々しくするためには、深い眠りを多くすることが大切で、俗に12時前に寝るのがすすめられるのは、組織修復がおきる深い眠りを多くとろう、という意味なのです。
とはいえ、仕事や遊びで12時前に眠ることなどとてもとても、というあなたに、「眠りの質を高め、深い眠りを導く」条件をお教えしましょう。
まず良質の眠りのための環境条件として、温度と湿度をあげておきます。
最適な温度は25度、湿度75パーセント。冬場、湿度が50パーセント以下になると、粘膜が乾いて眠りが妨害されます。寝室に湿度計つき温度計を置いてみては。
冬場、乾燥気味のときは、加湿器をつけたり、お風呂にお湯を入れて風呂場のドアをあけておいたり、寝室にぬれたタオルを1枚かけておくのもおすすめです。
シーツとパジャマも大事な条件です。寝ているあいだ、不感蒸発といって、150ミリリットルの発汗があるので、シーツは週1度はかえること。
パジャマは、綿やシルクのゆったりしたものを選んでください。
足もとが冷えると寝つきが悪くなることもご存じのとおりですので、足もとに1枚タオルを巻いて、温かさを保つことも大切です。
枕は5〜6センチの高さが良好。
明るさも眠りの質を変化させます。遮光が不充分なカーテンだと、朝日で朝の深い眠りが妨害されることがあります。
遮光性の強いカーテンがのぞましいのですが、それが無理な人は、アイマスクを利用してもよいでしょう。
寝つきをよくすることにもいろいろな条件があります。睡眠薬を常用している人がいますが、薬に依存する傾向が強くなりますし、睡眠薬で肝障害をおこし、肌あれの原因になることもあります。
一時問題になったのでおぼえている方もいると思いますが、ハルシオンという睡眠薬で、入眠直後の記憶がなくなることも報告されています。
薬に頼らず寝つきをよくする工夫をご紹介しましょう。ただしどうしても薬を使ってみたいという方のために漢方薬をお教えします。「帰脾湯(きひとう)」、あるいは「加味帰脾湯(かみきひとう)」という漢方薬は、不眠に効果的といわれています。健康保険の適用になっていますので、かかりつけのドクターに相談して処方してもらってはいかが。
さて、眠るためには、知的興奮をおさえること、大脳への刺激を抑制することが条件です。
テレビ、本、ビデオなど、あなたの知的興奮を刺激するものはひかえることが必要です。同じビデオでも、大脳を刺激しない、あなたにとって「おもしろくない」「興味のない」ものならオーケーですし、興奮せずにリラックスだけできる環境ビデオなどは大丈夫です。
寝ようとする1時間前には、仕事のことは考えない、コンピュータなどは使わない、興奮するテレビは観ない、ようにしてください。
眠る前の上手な水分補給とバスタイム
ナイトキャップを飲みたい、という人は、アルコールのとり方に気をつける必要があります。というのは、アルコールも睡眠薬と同様に依存性が強いからです。そしてアルコールは、一見寝つきがよくなるもののようにみえるものですが、深い眠りを妨害するといわれています。
またアルコールのエネルギー量に関しても、ダイエット中の方は再確認する必要があります。ワイン1杯、約150キロカロリー、ブランデー、ショットグラス1杯、70キロカロリー、日本酒200ミリリットルで約200キロカロリーです。
これを眠る前に飲むことになるのです。寝ているあいだは、自律神経のバランスは副交感神経優位に働きます。つまり、栄養を吸収して体内へ貯蓄する方向へ働くのですから、ナイトキャップのアルコールは、昼間がんばってダイエットしている人にとっては、努力が無駄になることを意味します。
寝る前にごはんを食べるのは悪いと知っていても、ナイトキャップならよいと思っているのはダイエットの落とし穴です。
それでは「太らないナイトキャップ」として次のような処方はどうでしょう。
処方箋19 太らないナイトキャップ
・カモミールティー
カモミールのリラックス効果が期待できます。この中に香りづけ程度、スプーン1杯ほどのブランデーを入れてもよいと思います。
・ノンファットミルクのシナモン入り
ミルクに含まれるトリプトファンはアミノ酸のひとつですが、眠りを誘導するといわれています。カロリーを気にする人はノンファットミルク100ミリリットルを温め(できれば泡立て器や、エスプレッソマシンを使ってふわりとさせると満足感アップ)、これにシナモンパウダーをふりダイエットシュガーをお好みで。これなら約40キロカロリーです。
眠る前のお風呂でアロマテラピーをするのもかなり効果的です。
交感神経の緊張をほぐす効果のある、エッセンシヤルオイルを数滴お風呂に入れ、部屋に香りを漂わせると寝つきは非常によくなります。
私がおすすめする処方は、ラベンダー2滴、イランイラン1滴をバスソルトでとかし浴槽に入れるものです。
ラベンダーは抑鬱的な気分を改善することが知られています。
この処方ですと眠くなることはうけあいですが、血圧の低い人は血圧が降下してフラつくこともあるので注意してください。
さて、最後に眠りを誘う「つぼ」についてご紹介しておきましょう。
つぼをマッサージすることによって血流をよくし、リラックスすることで交感神経の緊張をほぐすのです。1回3秒をめどに、息を吐きながらつぼに対して垂直に押し、息を吸いながら離すのがポイントです。
まず、頭部ですが、頭頂部で、両耳を結ぶ線のまん中。これは「百会」というつぼ。
頸部の胸鎖乳突筋の下のくぼみの前方の「安眠」というつぼ。
手の親指と人さし指の間のつぼ。
足の裏の中央よりやや前で足の指を曲げるとくぼむ「湧泉」というつぼ。
手足の指先にはローションを使い、カモミールオイルを1滴加えると、さらに効果的です。
ところで、現代人の不眠の要因のひとつとなっているのは、精神的疲労と肉体的疲労のアンバランスです。神経を使っているのに体を使っていないため、交感神経が緊張して不眠の引き金になってしまうのです。夕方、軽い散歩など(仕事帰りに少し歩く)して、適度な運動をしておくと不眠改善に効果的です。