「体」はその人の最大の自己表現。「体」はそのままその人を語っているのです。
身体言語という言葉があるのですが、それはたとえば、イヤなことがあると頭が痛くなったり、ストレスが続くと下痢をしたりといったように、口で語らない「言葉」をその人の体が表現しているということなのです。
体はまさにその人が全身で語っている表現、ですから。
太りすぎで、かったるそうな体は、
「私は何か不満でいっぱい」と語り、
おおらかな感じにややふっくらした体は、
「私は細かいことにこせこせしないの」と語り、
ほどよく締まって、でもギスギスしていない体は、
「私は幸せで充実しています」と語り、
やせすぎで骨と皮のようになった体、体がないような体は、
no body=nobody 体がない、私は何者でもない、
「私は自分が誰か、アイデンティティーがつかめません。だから、とりあえずダイエットに励み、やせることを生きる目標にしています」
と語っているわけです。
太りすぎず、やせすぎず、自分らしい、いい感じの体であるためには、つまり過食にならないためには、心、脳、とくに前頭葉を満足させることが大切です。
人は、おなかがすくから食べるだけではありません。
悲しくて食べ、怒って食べ、退屈しのぎに食べるものなのです。
電車に乗ると、(新幹線など)長距離の場合、食事時間でなくても、みかんを出して食べたり、おせんべいをかじったり、お弁当を広げたりするものですよね。あれは退屈しのぎ。
過食嘔吐をする人は、胃が食べたくて食べるのではなく、心のむなしさを埋めるために口を満たし、そのあと太るのがイヤで吐いてしまうのです。
怒ったり、悲しかったり、イライラするとき、チョコレートをつまんで気を落ち着けたりすることもあるでしょう。
生理の前に過食になるのは、脳のセロトニンというホルモン状態に変化が起こり、精神的にイライラするからだといわれています。
ダイエットでしばしばいわれるように、食欲の中枢は脳の満腹中枢と摂食中枢。
「ゆっくり食べれば満腹中枢に指令が届いて、過食にならない。こんにゃくや海草で胃を満たすと、その指令が満腹中枢を満足させるので食べすぎなくてすむ」
ということがあります。
たしかに脳の視床下部にある満腹中枢、摂食中枢は、食欲の中枢です。しかし、いくらゆっくり食べたり、こんにゃくで胃を満たしても、何か物足りない、というのは、食欲中枢よりさらに高度な食欲の総合指令中枢である、
「大脳皮質前頭葉」
が満足していないのです。
胃は、もうおなかがいっぱい、でも、何か不満足、というのは、大脳皮質前頭葉が満たされていないのです。
こんにゃくなんて飽きちゃったわ、と前頭葉が感じていれば、何か物足りなくなるのです。これが「ストレス食い」の原因となるわけです。
前頭葉が発達した生物ほど、たんに「胃がいっぱいになる」だけでは満たされないといえるので、こんにゃくやダイエットフードだけ食べてダイエットできるという人
いってみれば、前頭葉があまり機能していない人かもしれません。
ダイエット食品でダイエットしても、リバウンドしてしまうというのは、きわめて人間的な前頭葉の証明なのでしょう。
それなら、どうやって前頭葉を満足させるか。それは、心からおいしい、と思うものを幸せな気分で食べることでしょう。
自分でそうした料理をつくるのもいいのですが、私自身は前頭葉を満足させてくれる、
レストラン
を見つけておき、ゆっくりとおいしいものをいただくことにしています。
おいしいものを食べたいな
という欲求があるときには、たんに口と胃だけでなく、丁寧につくられ、手抜きをせず、自分のために美しく盛りつけられた食事を食べたい、という欲求があるので、それらを満足させてくれる店を探しておくのです。
「食物」は、子どものころ、2歳くらいまでは母親のイメージと一体化しているといわれています。
赤ちゃんは泣くと、おっぱいや食物を与えられますから、人は悲しいことがあると口を満たしてまぎらわすということをするようになるのかもしれません。
さみしいと、ものを食べるのは、母親的な癒しを求めているのでしょう。食物の拒否は、母親を拒否することともかかわりがあるのです。
心が疲れ、さみしいとき、過食にならずに癒してくれるあなたの前頭葉を滴見させるレストランを見つけてみてください。
私の場合は都内に1〜2軒、無農薬の野菜や安心できる素材を使ったほっとできるレストランがあります。
●和食「桧下」(tel.03-3202-4404)
そのほか、食事というより、空間を楽しみ、自分のスペースを確保して本を読んだりしながらランチをしたいときには、
●イタリアン「オステリア」のテラス席(4から10月ごろまで真夏をのぞく)
蝉や虫の声を聞き、都内でも緑を感じつつカフェオレを飲み、サラダを食べるときは、
●「パティスリーキハチ・アークヒルズ店」のテラス席
過食にならずにダイエットしたいなあ、と思ったら、まずは、心からおいしい、と感じられるものをゆっくり楽しんで食べることからスタートです。
心をいっぱいにすると過食にならないんですよ。