海原純子の医学講座

 仕事でいつも表情を一定にしていると顔がこわばってしまうものです。接客業でつねに笑顔をつくっていたり、パソコン作業で一日中、画面に向かっていたり、というように、
「いつも一定」
の表情をしていると、なんだか顔に仮面をかぶっているように、表情が動かなくなってきます。

  顔の表情筋がこわばってしまうときは、感情もこわばっている可能性があるので、そのこわばりを一日一回解消してみましょう。
 感情のこわばりが、気持ちをうつに傾かせることもあるのです。 夜、家に帰ってから一人になって、 鏡に向かって大きな口を開けてみてください。
 つづいて、口を開けたまま、あごを左右に動かしてみてください。口を開けたり、閉じたりを5回ほど続けます。
 なるべく大きく開けてみましょう。あごの部分がリラックスするのがわかりますか?

 次に左右の手の中指で眉間から眉毛の上を開くような感じで指圧します。
 あごの間接の周囲を指圧してマッサージする感じでほぐします。

 顔全体を両手で軽くなでて、こわばりをとってください。それでも顔が疲れている感じがしたら、むしタオルで軽く顔を押さえてみてください。顔の筋肉の緊張がゆるむのがわかるはずです。顔って結構こっているんですよ。
 顔の緊張をとると、上半身のリラックスにつながります。5分間ほどのストレッチでオーケーです。


 現代社会の日常生活は左脳中心。とくに仕事の場面では、合理性と客観性、分析能力が要求されるので、私たちは日々機械化されているといってもいいで しょう。
 左脳中心で生活すると、必然的に、
「感情は抑圧されていくもの」です。
 仕事の場面では、なるべく感情的にならずに過ごすわけですから。これが続くと、気持ちが落ち込み、うつに陥ることがあります。
 そんなとき、五感を活性化し、感情に働きかけることで、ちぢみこんでしまった感情をのびのびとストレッチすることができます。


五感活性化の処方箋

(1)視覚へ働きかける

●花を飾る
 好きな切り花をたっぷり買って、部屋の中に飾りましょう。
 なるべくいろんな色のものを種類を多く買い、部屋の中敷カ所に分けてフラワーアレンジメントします。

●クリスタルを飾る
 ヒーリングストーンが流行していますが、ローズクオーツやアメジストなど、 好きな色のクリスタルを飾ります。クリスタルは最近はデパートなどで手に入りますが、私は沖縄の国際市場「さくら」という店で買っています。

●ポストカードや写真を飾る
 好きなポストカードや絵、行ってみたい場所、悔や山の写真などを飾ります。
 ふと、こんな場所に行きたいな、と感じる場所の写真などがいいでしょう。

(2)嗅覚に働きかける

 鼻には、一千万個もの嗅細胞という神経細胞があり、鼻粘膜への刺激は、 脳辺縁系に直接伝達されます。辺縁系は感情を司る器官。香りをかぐことで、感情に働きかけることができます。とくに感情がうつ気味に陥ったり、左脳にシフトしているときは、
 バジル
で陽気な気分になったり、
 イランイラン
で感情モードになるのもよいと思います。詳細は、拙著『きれいになるメディカルハーブ 』(三笠書房)を参照してください。

(3)音楽を聴こう

 聴覚への刺激も五感への刺激のひとつ。好きな音楽を聴くのもいいし、自然 の中に出かけて、虫の声などや海の音、川のせせらぎなどに耳を傾けるのもいいでしょう。

(私のおすすめCD)

アンリ・サルバトール「サルバトールからの手紙」
セザリア・エヴォラ
エンヤ
●イリアーヌ・エライアス「ドリーマー」
シェリル・ベンテーン「シングズ・ワルツ・デビー」
ジョン・コルトレーン「バラード」
●環境音楽で波の音が入ったもの

(4)ネコと遊ぶ

 私は仕事が終わり、原稿を書き終わった深夜にはネコとちょっとだけ遊びます。
 夜型のネコは、ちょうどその時間が元気なお目覚め時間。思考を手放して、 ひととき無心になるのも五感を活性化する手助けとなります。