海原純子の医学講座

「人は呼吸するとおりの人になる」
 オステオパシーの権威、R・フルフォード博士は、私にこう言いました。

 州立アリゾナ大学医学部の代替医療部教授のアンドリュー・ワイル氏を治療したことで有名なフルフォード博士ですが、アメリカには近代医学部のほか、オステオパシー医学部があり、卒業すると、通常の医学部と同様、国家資格で医師免許を与えられ、手術もX線検査も行えるのです。

 ただし、本来、オステオパシーとは、手技で治療を行う整体や気功ときわめてよく似た治療法で、フルフォード博士もクスリを使うことなく、手技で治療を行ってきました。
 フルフォード博士によると、体の筋膜の緊張によって、体の持つエネルギーの流れがブロックされ、こわばることから、さまざまな症状や疾患が起きてくるということです。

 そして、このような緊張状態を解きほぐしていくのがオステオパシーなのですが、博士は、一度オステオパシーで緊張をとったあとは、自分で治していくように、と患者さんに教えています。
その方法、つまり、

 自分で自分を治していくのが深呼吸 なのです。

 体が緊張している人は、呼吸が浅く、呼吸数も多いものです。緊張する場面では、しっかり深く呼吸ができず、肩で呼吸することが多くなるのです。
 私がカウンセリングしているクライアントの方も、ストレスによって症状を起こしたり、うつ状態に陥っているときは、上半身と下半身がブロックされてでもいるように、呼吸が伝わっていない感じがします。

 「緊張すると呼吸は浅くなる」
 しかし、
 「深く呼吸すると、緊張はほぐれる」
のです。最も手軽にできて、お金がかからないリラックス法が深呼吸です。

[方法]

(1)両足を肩幅くらいに広げて立つ。
(2)両手を水平にして、左手のひらを上に、右手のひらを下にする。
(3)鼻から大きく息を吸い、空気が全身にゆきわたるイメージをする。
(4)口から息を吐く。

 朝、夕、そして緊張する場面のあとに深呼吸をしてみてください。
 体のブロックがとれるはずです。



<上級編>深呼吸によるイメージセラピー

(1)両足を肩幅に開いて立つ。
(2)両手は楽に下におろす。
(3)目を閉じて頭上にやわらかいピンク色(好きな色でイメージしてください)の光を思い浮かべ、その光に包まれている感じで探く息を吸う。
(4)口から息を吐くごとに、イヤなことやつらいことが黒い玉になって口から出ていくイメージをつくる。
(5)息を吸うごとに光が体に入り、息を吐くごとにイヤな気分が出ていくイメージで呼吸をする。5分間ほどでかなりスッキリしてくるはずです。

深呼吸したくなるような場所に出かける

排気ガスの多い空気や化学物質のイヤなにおいがする空気は、深呼吸したくなる気分にはならないものです。
 そこで私は深呼吸したくなるような空気を吸いに、時々ちょっと出かけることがあります。

 仕事で空気のきれいな地方に出かけると、これはラッキー、とばかり、仕事の合間に深呼吸してリフレッシュ。休暇がとれると、なるべく緑の多い場所に出かけて深呼吸をして体に酸素をたっぷり補給します。
 都会の酸素バーでチューブから高濃度の酸素を吸うよりも、自然の中で、おいしい空気をたっぷり吸うひとときは、心ものびのび呼吸するひとときになるのです。