海原純子の医学講座

 私はよく講演会に行くのですが、参加者の顔を見ると、「あ、この会社の人は元気だな」「この会社の人はうつっぼいな」と気がつくのです。

 うつっぼい人の多い会社では、「表情がない」人がとても多いのです。うつな気分は自然に伝染するので、その会社の人たち全体が元気がなく、「何にもおもしろいことがない」という表情をしているのです。

 どんなに美人でも美形でも、うつ傾向に陥ると顔はこわばり、表情が固定化して、まるで促面をかぶったようになるのです。

 反対に心が元気な人は、表情が生き生きして、顔のつくりはたいしたことがなくても、思わず引きつけられるような魅力があふれています。
 最近増加している「うつ」ですが、

A・何にもおもしろいことがない
  わくわくすることがない
  したいことがない
  イライラする
  だるい
  気持ちが落ち込む
  おっくう

B・よく眠れない
  眠りが浅い
  寝つきが悪い
  朝早く目がさめてしまう

C・食欲がない
  やせてしまう
  食べたいものがわからない

 A〜C群のなかのどれかひとつがあてはまり、2週間以上つづくときは、「うつ」の可能性が高いのです。
 なぜ、うつになるのか、その原因ははっきりわかっていません。
 たんに、ストレスが多いからうつになるというわけではなく、性格要因や脳内ホルモンのひとつ、セロトニンの濃度もかかわっているとされています。

 そして、感情を抑え、ガマンしつづけることも「うつ」の引き金となるのです。
 「うつ」に陥らないためには、感情を表現して解放することが大切。表情美人になるには、右脳を活性化し、感情を表現していくことが役に立ちます。



右脳活性化の処方箋


(1)ネコと遊ぶ・・・ネコの好きな方におすすめのネコ遊び  

 我が家のミィーは2歳。遊ぶのが大好きな年頃なので、一緒にかくれんぼをしたり、ボール投げをしたり、ひもを引っ張って、猫じゃらしをしたりします。
 ネコを相手にしていると、思わず「ワーツ」と叫んだり、笑ったりしてしまうものです。
 あれこれ考え込んで悩んでいるときでも、ネコ遊びは自然に顔がほころんでくるものです。

(2)お絵かきアートセラピー  

 カウンセリングで、絵が使われることがあります。
 とくに、言葉で感情表現ができなくなっているときなどに、絵やイラストを措いていると、自然に感情表現がで きることがあります。
 私は、ステッドラー、カランダッシュ、ファーバーカステルなど、ちょっと高級な色鉛筆を買って、さまざまな色を使いながら、「その日の気分」というテーマで描くことがあります。
 考えるのではなく、思いつくまま描くこと。ふと思いつくことは、右脳と連動しているのです。

(3)音楽を聴く  

 音楽、とくに楽器中心のCD、外国語で歌われているCDを聴くことも、右脳を活性化します。
 なるべく言葉が入っていないほうがいいのは、言葉が混じることで「左脳で考えること」を避けるためなのです。
 楽器中心、言葉がわからない外国もの、スキャット、クラシックなどがいいでしょう。

(4)そうだ、海に行こう  

 ちょっと海へ行ってみましょうか。
 冬でも海辺を歩ける沖縄で深呼吸。
 泳げる季節なら、足を海に入れてバシャバシャ走ってみましょう。
 海辺を走っているときにはあれこれ考え込むことはないですね。
 うつ気味になったときは海へ行って走ってみましょう。

 「ふと、したいこと」
 「ふと、思いつくこと」
 「ふと、心が動くこと」
 「ふと、食べたいもの」
 というように、「ふと」気になることは、右脳とつながっているので、なんだか顔がこわばっているなあ、おもしろいことがないなあ、と気づいたときは、「ふと」に目を向け、右脳を活性化してください。