最近、若年性更年期という言葉が、若い女性やファッション誌で話題になっています。
若年性更年期というと、いかにも医学用語ですが、実はそんな医学用語はないんですよ。あくまで俗称。
40歳より以前に閉経が起こるのは、「早発閉経」という病気ですが、早発閉経は、実際にはそれほど頻度の高いものではありません。
若い女性が生理不順になったり、まったく生理が来ないというときは、早発閉経より、むしろストレスなどによって脳のホルモン分泌が低下し、二次的に卵巣の機能不全に陥ることが多いのです。
ここでちょっと生理のしくみについて確認しておきましょう。
女性は思春期になると、脳の下垂体という部分からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体刺激ホルモン)というホルモンが卵巣に向けて分泌されます。
このホルモンの刺激によって、卵巣の中で卵胞が成熟し、エストロジェンという女性ホルモンが生産され、肌をなめらかにみずみずしくする働きをするのです。
さらに、成熟した卵胞から排卵が起き、卵巣は黄体ホルモンを分泌し、子宮内膜は妊娠に向けて厚くふわふわの状態に変化します。しかし、もし妊娠しなければ、内膜ははがれて排泄されます。これが生理というわけです。
40代以降、卵巣の働きは、少しずつ低下していき、50歳近くになると卵巣自体のホルモン分泌は減少します。これが更年期で、卵巣ホルモンが低下するために、脳のホルモンは逆に卵巣に向けて大量に刺激ホルモンを分泌するのです。
簡単に言うなら、
卵巣ホルモンが低下し、
脳のFSH、LHホルモンは、
大量に出る
のが更年期です。
しかし一方、若い世代の女性では、ストレスやダイエットによって、脳のホルモン分泌が低下することにより、二次的に卵巣の働きが低下し、女性ホルモンが分泌されなくなるのです。
いわゆる、俗称、若年性更年期といわれるときは、
脳のホルモン分泌FSH、LHが低下し、
それにより卵巣ホルモン=女性ホルモンが
分泌されなくなってしまう
わけです。
卵巣ホルモン(エストロジェン、女性ホルモン)は、カルシウム代謝にかかわり、骨からカルシウムが流出するのを防いだり、細胞内に水分をキープする作用を持っていますから、このホルモンが減少することで、肌のプリンとしたなめらかさは失われ、乾燥しやすくなって厚ぼったくなり、骨がもろくなります。
このホルモンが低下しているという点では、更年期も若年性更年期も同じ。しかも、その状態を続けていると、3カ月以上放置すると子宮内膜が萎縮して、治療してもなかなか反応しないようなことにもなりかねません。
そこで、卵巣をいたわる生活を考えてみましょう。
その前に、いったい何が若年性更年期の原因になるかをチェックしてみましょう。
あなたのストレス値はどれくらい?
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ストレス値
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□ 配偶者の死 □ 離婚 □ 夫婦別居生活 □ 拘置,拘禁,または刑務所入り □ 肉親の死 □ けがや病気 □ 結婚 □ 解雇 □ 退職 □ 家族の病気 □ 妊娠 □ 性的障害 □ 新たな家族成員の増加 □ 職業上の再適応 □ 経済状態の変化 □ 親友の死 □ 転職 □ 配偶者との口論の回数の変化 □ 約230万円以上の抵当(借金) □ 担保,貸付け金の損失 □ 仕事上の責任の変化 □ 息子や娘が家を離れる □ 姻戚とのトラブル □ 個人的な輝かしい成功 □ 妻の就職や離職 □ 就学・卒業・退学 □ 生活条件の変化 □ 個人的な習慣の変化 □ 上司とのトラブル □ 仕事時間や仕事条件の変化 □ 住居の変更 |
100
73 65 63 63 53 50 47 45 44 40 39 39 39 38 37 36 35 31 30 29 29 29 28 26 26 25 24 23 20 20 |
(HolmesTH,RaheRH:The Social Readjustiment Rating Scale,1967より引用) |
若年性更年期の引き金となる要因
(1)強烈なダイエット
1カ月に4キロ以上の過激なダイエットをすると、脳下垂体のホルモン分泌は低下します。
また、体脂肪18パーセント以下も脳のホルモン分泌を低下させます。
イヤなことが続く、悩みが多い、環境要因のストレスが多い……。
165ページの表に、さまざまなストレス要因を挙げておきます。
過去1年で合計200点以上になっているときは、ストレスが多い兆候です。 要注意ですから少し休みをとりましょう。
(3)タバコ
タバコは、卵巣自体の機能低下を起こします。ニコチンと一酸化炭素の血管収縮作用により、エストロジェンの生産が低下するのです。また、早期閉経、皮膚コラーゲンの低下も来します。
(4)激しい運動
激しい運動によって体脂肪率が減少したときも、脳下垂体ホルモン分泌は低下します。
(5)冷え
冷えにより末梢血液循環が低下すると、卵巣への血液供給量が低下し、機能不全になりやすいのです。
卵巣をいたわる処方
一日の終わりに、交感神経をリラックスさせ、全身の血液循環をよくするひとときをつくりましょう。
冷えを防止するためにも、ゆっくりとリラックスしてお風呂に入り、温まるのがよいでしょう。
とくにイランイラン、ゼラニウムは、女性ホルモンに働きかける作用を持つので、バスソルトにイランイラン1滴、ゼラニウム1滴を混ぜてお風呂に入れ、ゆっくり温まると、アロマテラピー効果も得られます。
小鼻の周囲は、東洋医学的に見て、卵巣とかかわりがあります。
生理不順のとき(生理痛のときも)、小鼻周辺を温かい蒸しタオルで8分ほど温めておくと、卵巣を刺激することができるといわれています。
(4)体を温める食物をとろう
冷えた飲料水をやめ、ミネラルウォーターは常温で。温かいハーブティー、スープ、みそ汁などをとる。
サラダは、温野菜や焼き野菜、マリネなどに。
しょうが、くず湯などは体を温める作用があります。
大豆などに含まれるイソフラボンは、エストロジェンと似た作用を持つことから、植物性エストロジェン、別名、植物性女性ホルモンと呼ばれています。
イソフラボンは、人体で過剰にエストロジェンがあるときはその作用を弱め、不足しがちになるとその作用を増強するという、すぐれた働きを持っています。
ですから、過剰な女性ホルモンが引き金になって起きる病気、たとえば乳ガンや前立腺ガンの予防にも役立つのです。
若年性更年期が心配、というときは、イソフラボンを多く含むメニューにしてみましょう。
化学物質のホルモン剤とは異なり、副作用の心配もないのでためしてみてください。
●豆乳
●豆腐
●みそ
●黒豆
●納豆
●きな粉
などの大豆類
●くず(葛)
●納豆に干し桜エビ
●きのこのみそ汁
●くず湯
●枝豆